ムズカシイけど面白い
こんにちは。今日はセラミックインレーのお話です。コレです。
私達、歯科技工士は、差し歯・銀歯・入れ歯など様々な物を作るのですが「詰め物」などと呼ばれているのをインレーと言います。皆さんのお口の中にもあるかもしれません。
一般的なものはパラジウム合金という金属で作られています。金属なので口の中では黒っぽく見えてしまいます。大きく口を開けて笑った時に見えやすいのが下の歯ですが、下の歯列から金属を取り除いただけで、ガラリと笑顔の印象が変わって見えます。接客業など人と接する機会が多い患者さんや、女性に人気があるのがセラミックインレーです。
やはり下の歯の受注が圧倒的に多いです。以前は壊れやすくて、お勧めしにくい製品でしたが近年の素材の進歩、製作技術の確立によりとても良い製品になりました。
セラミックのインゴット(画像1)を溶かしてプレスするタイプ(画像2)の物は歯型に適合(フィット)する精度が高く、治療した歯が再び虫歯になるリスクが低くなります。色も適度な透明感を持ち合わせており、周りの歯の色を拾い上げる感じになる為、口の中に違和感なくマッチします。
(1)セラミックインゴット (2)プレス工程
このインレー。こんなに小さいのですが難易度が結構高めで簡単にはいきません。形が複雑なほど歯型にフィットさせるのが困難になります。
材料の温度管理、材料の相性、機器のプログラム設定、忍耐力、精神力、集中力(笑)。形だけでなく色の調和まで求められるので、技工スキルのすべてが詰め込まれているような気さえします。しかも、機器・材料は次々と新しい物が登場してくるのでチェックも欠かせません。メーカーさんの努力には本当に驚かされるばかりです。昨日まで苦労していた工程が新たな材料の進化で一気に解決するんですから。
でも、最後は人の手が良し悪しの決め手である事に変わりはありません。このぐらいでいいかぁ・・。まぁこんなもんかな・・。という気持ちが少しでもあるとハッキリと製品に出てしまいます。
顕微鏡を覗き、息を止めて作業する瞬間が結構好きです。