素敵な趣味
「セレックインレーが2回、もってかれました・・・。」
「もってかれ・・・割れたんですか?」
「はい。バリカタのジルコニアで何とか・・・お願いします。アニキ!」
インレーか・・・ジルコニアディスクもレイヤータイプ・高透光性タイプ・消しゴムタイプ・・・すんごい種類が出ましたが、曲げ試験の数字が大きいから極薄マージンのチッピング耐性が高い訳でもないので難しいです。メーカーさんの公表する物理データもMPa・硬度・粘りとか統一性が無い。
シンタリング時の昇温スケジュールにも秘密があるらしい・・・。早ければ良い訳でもないんだね、技工材料あるあるか・・・。マージンフィニッシュに使用するシリコンホイールの選択は凄く影響があります。ハンドピースの回転数・回転方向もだけど。
バリカタ指定なのでチッピング耐性の高いと噂されるメーカーさんの消しゴムタイプをチョイス。透明感とか色のマッチングよりは強度重視。応力集中源となるリアルな溝・窩の付与は禁忌。
セメントスペース設定の数値やエリア指定・合着用セメントの物性も生存率に大きく関与するので奥深い。グレーズペーストを全面に塗布して焼成し、シリコンポイントであえて艶を落として、再度必要な部分を必要なだけ機械研磨する。どんなマテリアルでもインレーが一番大変です。金合金で必死に適合を追及してきたオッサン世代はさ・・・模型上の完成写真を撮るにしても、適合が良く見えるアングルを探るのに一苦労する訳さ(笑)。
私は「全国の歯科医院のホームページを見てツッコミまくる」という素敵な趣味があるのですが(笑)‶これがジルコニアインレーです!”って紹介しているコーナーやブログの写真を見て「何でそのアングルなの?技工士さん泣いてるんじゃない?」と思う事が良くあります。